「鉄仏の製作年代と古伝書「古今鍛冶備考」からみた
　銑押し法と�ﾋ押し法の成立期の検討」

１．諸言

２．古代の製鉄技術

本論に入るに先立ち、古代の製鉄技術がどのようなものであったかを簡単に述べておく。
この時代各地でどのような製品が生産されたかについてであるが、おそらくこの時代に
あっては、たとえ鞴が使用されていたとしても、炉型も小さく、送風動力もそれほど力の
あったものとも考えにくいことから、その多くは、鉄、低炭素鋼、そして鉱滓の入り
混じったもの、あるいは地域の条件によっては銑を交えた複合的生産物であったものと
考えられる。

以後、古代にあっては、奈良時代、平安時代と時代が進むにつれて製鉄技術は進展して
いったことは確かである。これは文治３年（１１８７）に和泉三郎が塩釜神社へ奉納した
鉄灯籠や、承安３年（１１７３）の製作による鳥取県大山寺の厨子など優れた鉄製品が
見られること、また文献においては、「延喜式」「巻５」・「斉宮」�Bに薬師寺の用具
として「鐵臼」（かなうす）が見えることなどでわかる。

以後たたら製鉄は鎌倉時代に入るとより一層の進展を見せることとなり、それは日本刀を
はじめ、以下に述べる仏像等の鉄製品が格段に多く出現することで知れる。


３．調査の方法
３．１　鉄仏の調査
３．２　古伝書「古今鍛冶備考」の調査
４．結果
４．１　鉄仏の調査
４．１．１　製作時代による製作点数の分類
４．１．２　製作年紀による製作点数の分類
４．２　古伝書「古今鍛冶備考」の調査
５．考察

６．結論

本論の題目による調査に限ってみた場合、銑押し法は鎌倉時代には本格的なものとして
成立していた。�ﾋ押し法が開発されたのは室町時代後期、天文頃である。以後両技術は、
近世に至ると一度の操業で量産を可能とする大型炉による、より高度な生産技術へと
進展していったものと考える。

７．補完
文献