「美濃鍛冶小論」
18−1 金属関係の宝物
金山彦命を主祭神とする南宮神社には、金属関係の宝物が数多く残されてい
ます。
刀剣関係で目立つ収蔵品には、国指定重要文化財四口、県指定重要文化財七口を
始めとし、数多くの刀剣が収蔵されています。
主だったものを紹介させていただきます。
○太刀 銘 「三条」(重要文化財) 刃長 二尺五寸八分
○太刀 銘 「康光」(重要文化財) 刃長 二尺五寸八分
○鉾 無銘 (焼身)(重要文化財) 刃長 八寸八分
○鉾 無銘 (焼身)(重要文化財) 刃長 七寸九分
美濃鍛冶関係で注目されるものは、
○太刀 銘 濃州赤坂住正国
長禄三巳卯十二月日 刃長 二尺四寸七分
刀身に「南宮大菩薩」の刻銘
○太刀 銘 美濃国大野郡清水住
岩捲市郎左衛門尉信貞造
寛永拾九年壬午年九月吉日 刃長 二尺一寸五分
刀身に奉納者名を長名に刻した太刀
この太刀は「美濃刀大鑑」の所載で、解説に得能一男氏が書かれています
ように、寛永十九年当神社が再建された際奉納されたものである事がはっきり
した貴重な資料の一つでありましょう。
その他、「武蔵守盛道、寛永二拾辛未年二月六日」表銘に奉納者名を刻した
太刀、表裏に「神戸、信高」銘を刻した脇指、等美濃鍛冶を研究する上に
ついて貴重な刀剣が数多く所蔵されています。
刀剣以外の金属関係の資料として注目に値するものに、明治元年、政府に
より実施された神仏分離政策(廃仏毀釈)によって、南宮神社から、社僧十坊の
一つ真禅院(現在は南宮神社の西、朝倉山にあり、朝倉山真禅院といわれ、
古くは、宮処寺といわれていた)に移された鉄塔が目立つ資料として挙げられ
ます。