「美濃鍛冶小論」

18−2 謎を呼ぶ鉄塔


 この鉄塔、写真に見られますような形状で、高さ五尺六寸七分、上部直径二尺
二寸五分、下部直径三尺二寸の大きな鋳造物であり、原型は三層であったと
いわれていますが現在は最上部が失われ、下部に大きな破損が見られます。

 外面には、梵字、六菩薩、四天王像を鋳出しています。(岐阜県指定重要
文化財)

 初期の鉄塔は、二位尼(北条政子)が頼朝の菩提を弔うため建造したと
伝えられていますが真偽のほどは定かではありません。

 その後、なんらかの事情で、土岐頼益の命で、応永五年再建されたものが
現在残されているものと伝える銘文が刻されています。

 参考にその全文を記しておきます。

 銘 平氏能登入道沙弥浄普
   平氏左京亮氏仲 
   土岐美濃守
   源朝臣法名常保
   土岐刑部少輔源朝臣頼世法名眞兼
   右兵衛大夫秀行
   藤原散位秀顕
   源盛光 
   沙弥道順
   沙弥浄阿弥
   観進聖 
   沙弥妙全
   大工河内国高大路家久
   応永五年戊寅八月十日敬白

 この鉄塔について、真禅院住職より面白い話を聞きましたので次回これを
紹介させていただきます。