切羽台の上に長耳兎を透かし、随所に波模様を透かしている。のどかな春の日にのんびりと竹生島詣でする様子を表しています。 「緑樹影沈んで 魚木に上る景色あり。月海上に浮かんでは 兎も波を走るか 面白の浦の景色や」 上記の謡曲の一節 「兎も波に走るや」に由来します。 能「竹生島」の物語というのは 後醍醐天皇の御代の臣下が竹生島詣でを思い立ち、鳩の浦から女を乗せている漁翁のつり船に乗せてもらう。 春日は麗らかで波静か、山には霞を伴い、岸辺には花を帯びて長閑な景色である。やがて竹生島へ着いたのである。老人は道案内をして弁財天に案内し、女は「吾は人間に非ず」と社殿のうちに消え、老人は「この海の主ぞ」と言って海中に姿を消す。 さらに臣下がお参りしていると、弁財天が出現し舞楽を奏し、湖面より龍神あらわれ、金銀珠玉を与え、ある時は天女の形をして有縁衆生の諸願をかなえ、またある時は龍神となって国土を静め、衆生済度の誓いを表し、弁財天は社殿に鎮まり龍神は湖上を飛行し波を蹴立てて龍宮に帰り去るのである。 |
能「竹生島」の図柄は兎と波が透かされています。 無銘記内鍔 縦73mm横72mm切羽台厚み4.5mm小丸耳厚み4.8mm |
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