当支部会員参加による行事日程
古式日本刀鍛錬 一般公開 刀匠、研師、柄巻師、鞘師、白銀師の実演 |
1月2日、10月は関市「刃物祭り」開催日 3月、4月、6月、7月、9月、11月は第1日曜日 |
平成14年度「支部活動」日程
支部活動 | 期 日 |
(1)第1回研究会・支部総会 | 平成14年6月15日 |
(2)第2回研究会 | 平成14年9月28日 |
(3)第7回東海地区大会 (開催報告 刀剣美術 第552号 掲載) |
平成14年12月8日 |
(4)第3回研究会・懇親会 | 平成15年1月26日 |
(5)第4回研究会 | 平成15年3月29日 |
平成15年3月29日研究会
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 短刀 美濃国住人銘乙字兼氏造之 但馬国住人賀陽 (以下不明) 天文十五年二月吉日 |
姿、平造り、 ふくら枯れ姿良い 鍛え、小杢目積み、鎬寄り柾目になり、白気映り立つ 焼刃、匂口締まった直刃を焼き、富士山型の腰刃を焼く この腰刃から一富士の号が有る 後代、兼氏の出来の良い短刀で、長銘で貴重 個名当りは難しいが、白気映りが立つ点、きつい腰刃を焼く点などを考慮すれば、 末関の系統であるのが分かり、同然に入札するのは、比較的容易か |
二号刀 | 刀 摂州住康永 | 姿、鎬造り、新刀の形状で、身幅も頃合 焼刃、国貞風の互の目主体の刃紋で、小沸深く、濤爛風もある この刀工は、紀州石堂系で、寛永頃、大阪に移住した先祖が国貞の門人になる 個銘当りは難しいが、大坂新刀の系統とみて国貞に入札するのは可能か |
三号刀 | 脇差 濃州住兼常 永禄七年十月吉日 |
姿、平造り、身幅広く、重ね、やや厚い 鍛え、板目に柾目を交える。棟寄り、柾目掛かり、白気映り立つ元に水影立つ 彫り、表に素剣、裏に食い違い樋 焼刃、沸出来の互の目を焼き、 帽子、葉入り、良く働く 地刃の特徴から、個銘当りも可能か 中心の錆色が良く、尾張鍔の錆色によく似ているとのこと |
四号刀 | 刀 作陽幕下細川正守 花押 元冶元年甲子年春日造 |
姿、鎬作り 二尺五寸を超える長寸で、重ね厚く、身幅広く、先幅、元幅、殆ど変わらぬ豪壮な 姿で、生刃残る 鍛え、小板目良く積み、淡く乱れ映り立つ 焼刃、福岡一文字ねらいの、重花丁子を華やかに焼く 個銘当りは、難しいが、姿、地鉄、 生刃が残る処などを考え、新々刀、そこから、丁子刃を焼くことから、細川正義に辿り 着ける 戦前に、本阿弥日州先生が研がれたもので、佐藤寒山先生の鞘書き有り |
五号刀 | 刀 摂州藤原包貞 | 姿、鎬造り、鎬、やや高めで、反りが浅い 鍛え、杢目に柾目交じり、鎬地に柾目肌が現れる 焼刃、匂い深い丁子風の刃を焼き、冴える 二号刀が、同じ大坂新刀であるため、混乱するかも知れないが、地刃の特徴から、 個銘当りも可能か |
平成15年1月26日研究会
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 脇指 出羽大掾藤原国路 元和五年十二月日 (所持銘) |
姿、身幅の広い、ずんぐりした形 (包丁型の小脇指、 桃山時代にあり、明寿・国広が多く製作) 鍛え、堀川地鉄、ざんぐりとした肌合い 焼刃、躍動感溢れる乱れ刃を焼き、沸えが良く付く、 全体に力強さ漲る 帽子、突き上げ三品帽子となる(入札絞込みの決め手) 【国路作風】 作風多彩、美濃伝・相州伝があり、備前伝以外を器用にこなす 三品系出身、国広に学んで大成 【本作入札】 堀川とみたら「国路」、三品とみたら「正俊」が良い |
二号刀 | 刀 長光 | 紀州徳川家伝来 第一回特別重要刀剣 元和三年、本阿弥光乗、折り紙六十枚 大摺上げ無銘ながら、姿が良い(茎尻に銘があるような雰囲気) 地鉄が良く、保存が良いので減っておらず、地刃に緩みがない(大大名家の持ち物) 焼刃、おだやかに小模様、処々に頭が丸いむっくりした独特な刃紋となり、互の目と 丁子が相半ば 帽子、少し湾れて三作帽子となる 【本作・入札】 「将監長光」と呼ばれる頃、後期作とみられれば満点 景光も悪くない入札 |
三号刀 | 短刀 国光(新藤五) | 新藤五国光の典型、説明通りの作 山城伝、京伝をもとに、更に、沸えを強く表し、地に地景を出し、刃に金筋を表す 三棟の中が広い造り込み、相州伝上々工(正宗・行光・則重・志津)にみられる 【相州伝】 新藤五 「相州伝を開拓、相州伝の始まり」と云われる 正宗・行光・則重などの名工を育てた 直刃を得意、乱れ刃は名物「乱れ新藤五」一本 正宗 相州伝を完成、大成させた 湾れの刃紋で相州伝の沸えの妙味を示す (「雪の斑消え」) |
四号刀 | 刀 肥前国住人忠吉作 | 姿、忠吉としては少し細い(来国光を意識した作) 慶長新刀の中には、時々、古調な体配・地刃を表すことがある 国広・忠吉・重国・国包など、貫禄があるところ 焼刃、広直刃に近い直刃を焼き、良く沸える 足、葉の入り方は規則的でなく放胆、二代・三代になるとどこか整う 匂い口、帯状の肥前刀の小沸の付き方 【本作・入札】 元和に入った頃の作 当該の刃紋は、武蔵大掾忠広にもある |
五号刀 | 脇指 備中国住次直作 延文二年十一月日 |
南北朝期、備中青江派のお手本通りの作(姿・鍛え・刃紋) 五代将軍綱吉の愛刀として伝来 姿、身幅広く、重ね薄い造り込み 鍛え、青江の黒い澄肌、白と黒の斑になった鯰肌が紋様として出る 焼刃、穏やかな逆丁子 【本作・入札】 逆丁子、更に目立つものあり 入札は、直刃であれば次吉、乱れ刃であれば次直 |
天位 | 95点 | 1名 |
地位 | 90点 | 1名 |
人位 | 80点 | 1名 |
平成14年12月8日 第7回東海地区大会
(開催報告 刀剣美術 第552号 掲載)
平成14年9月28日研究会
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 脇指 於南紀重国造之 |
姿、身幅やや広く、元先幅差それほど付かず、切先が延びる 先反り風に反りやや深く、身幅が広い割に寸法がつまる(ズングリ) 慶長新刀に見られる独特な鎬造りの脇指の形状 なお、慶長新刀期の鎬造りの脇指は少ない 鍛え、板目強く流れ、柾掛かる肌に処々に杢交える 地沸一面に厚く付き、地景が細やかに良く入る 非常に冴えた鉄になる 焼刃、直刃を焼き、匂い深く、沸えが良く付くほつれ・打ちのけ、食い違い刃、刃縁に 働きが良く見られる 刃中に金筋・砂流し働き、匂い口が明るく冴える 【重国の作風】 @大和伝:手掻派、直刃の作域 鎬高の造り込み、鍛え肌、強く流れ、柾掛かる 刃縁の働き、ほつれ・打ちのけ、食い違い刃 帽子、掃き掛け、焼き詰める A相州伝:江をねらった、複雑に乱れる 作域 【絞り込み】 大和伝:強く流れる中に杢が独立して随所に見られる 茎の形状、茎尻を浅く造り込む 目釘穴、大きく穿つ − 武用に折れないように 相州伝:鎬造りの刀、摺り上ったものがほとんど 大和伝は生ぶのものが多い 平造りの脇指に優れたものが多い 【参 考】 刀剣美術 第511号 資料紹介 |
二号刀 | 太刀 安綱 |
姿、身幅尋常、元先幅差付き、はばき元に踏ん張りが見られ、腰元で強く反り、先に 行くと反りが浅くなる − 生ぶの太刀、時代、平安末期から鎌倉初期 鍛え、板目やや肌立ち、地班状の映りが淡く立つ 焼刃、小乱れ調(形がハッキリしない古雅な)の刃をメインに小沸出来の刃を焼く − 一見、古備前に見える 【古伯耆物】 鍛え、造り込み、焼刃の形状、古備前に比して、野趣・田舎びた感じになる 造り込み、身幅に比して、鎬幅を狭くし、平肉を豊かに付ける − 全体的にゴロッとした感じ 鍛え、大きく肌立ち、肌立ち掛かるように、ほつれ・打ちのけ、刃中に金筋・砂流し働く − 本作は強くないが、細かに出る − 「童子切り」安綱、非常に良く詰んだ鍛え肌となる 鉄味は全体に黒味を帯びた鉄になる − 古備前に比して荒ぶれた感じとなる鍛え 刃文、古備前に比して、沸え付きが強くなり、互の目が目立つ − 古備前、小乱れを主に、丁子掛かる − 安綱、互の目、小湾れが独立したように交じる 区上に焼き落としが見られ、水影状の映り立つ − 本作の焼き落とし、非常に短い 銘振り、目釘穴、棟寄りに「安」の字より右側に「綱」の字を大きく切る |
三号刀 | 太刀 備州長船師光 永和二年六月 |
庄内酒井家伝来、光山押形所載の太刀、師光では最も年紀が溯る年紀、応永最初まで ある 姿、身幅やや広く、元先あまり幅差が付かず、中切先やや伸び、反りもやや浅い − 一見、延文・貞治の南北朝盛期の姿に見える − 小反一類、南北朝後期に活躍する刀工 普段、身幅尋常か細身、その割に重ねが厚い − 「永和」頃は、身幅広く、切先大きく伸びる大柄な体配から優しくなる、過渡期の姿 【小反一類の特徴】 南北朝後期の兼光一門、大宮一派、元重一派、吉井一派を除いた、作風が近接した 個名が明らかでない刀工 鍛え、板目に杢、流れ肌を交え、肌立ち、非常に肌合が整わない感じとなり、随所に、 地景風の黒い変わり鉄が交じる 焼刃、互の目・小互の目、小湾れ、角張る刃・尖る刃等々 多種類の刃が入り交じった 構成となる 兼光一門から応永備前の橋渡しの時代・作風となる − 応永一桁代の盛光、家助は小反風の作 − 兼光一門の政光、貞治頃は片落ち互の目・湾れ調、師の兼光に近接した作風 時代が下がるとごちゃごちゃしたような刃 @板目に杢を交えた肌立つ鍛え A腰が開いたような刃を交える B乱れ込んで先が尖る「ロウソクの芯」と呼ばれる帽子 【参 考】 刀剣美術 第541号 鑑定刀四号 盛景 |
四号刀 | 短刀 信国 |
姿、身幅広く、寸法が伸び、重ねが薄くなり、大柄な体配、反り浅く付く 鍛え、板目、非常に良く詰み、若干刃寄りに流れた肌交じり、棟側に鮮明な沸え映り 立つ 焼刃、典雅な直刃を焼き、匂い口、締りごころとなる 小沸良く付き、処々やや強く沸え、部分的に食い違い刃を交じえ、 帽子、品良く小丸に返る 【信国の作風】 相州伝(貞宗);湾れ調の刃がメイン、沸え付き強く、刃中に金筋、砂流し顕著 地鉄、地景、地沸良く付く 京物;直刃、匂い口、締りごころとなる 【信国への絞り込み】 了戒の子、「久信」の子または孫と云われている − 刃寄り、流れて柾掛かり、刃縁、食い違い、ほつれた感じ 南北朝から応永、各時代の信国に 上手い彫物が見られる − 本作、差し表、樋中に緻密な倶利伽羅 銘鑑は時代「建武」と云うが、確認されていない − 延文三年の作が最も遡り、湾れ調で、相州伝強く、貞宗との直結が伺われる 初代の銘振り、「国」に対して「信」が やや小さく、「信」に対して「国」をずらす − 代が変わると、同じ「信国」二字銘だが、真っ直ぐに切る 【来国光、国次への入札】 京物、内反りか無反り、重ね厚い、本作、反り浅い 直刃短刀 尋常 大柄 国光 有る 有る 国次 有る(少ない) −−(乱れ刃) |
五号刀 | 刀 住東叡山忍岡辺 長曽祢興里作 延宝二年六月吉祥日 |
姿、身幅やや広く、元先幅差付き、中切先となり反りやや深い − 寛文新刀期の範疇に入る造り込み、通常、反り浅い − 寛文末年から延宝2、3年の作、ハコ虎時代 − 奥平家伝来、重文、延宝2年頃の作、同様に反り深い 鍛え、虎徹らしく冴え、非常に良く詰んだ肌となる 地沸が一面に厚く付き、地景、細やかに入る 部分的に黒い変わり鉄が交じる − 佐野美術館所蔵、虎徹の短刀、全体的に変わり鉄風の鍛え 焼刃、あまり出入りがない、直刃を基調、互の目、小互の目、尖った刃を交え、 太い足を入れ、数珠刃の作域を示す 腰元に刃幅が変わらない、直ぐの焼き出しを見せ、短くなる 【虎徹の作風】 前期作 ハネ虎 − 焼刃、高低差が見られ、関風となる出入りのある大きい互の目、小さい互の目 「ひょうたん刃」の作域沸えがむらに付く − 帽子、地蔵風、三品風、関風が伺われる − 茎仕立て、栗尻、化粧鑢掛ける − 造り込み、棟の下ろし急 後期作 ハコ虎 − 直刃を基調、互の目、小互の目、尖った刃を交え、太い足を入れ、「数珠刃」の作域 全体的に沸えが付く − 茎仕立て、栗尻、浅い勝手下がり、化粧鑢なくなる − 帽子、横手上まで焼き込み、小丸に返り、典型的な虎徹帽子 − 造り込み、棟の下ろし緩やかになる「つぼ穴」と呼ばれる化粧穴、最初からあける − 他に、仙台国包(初代)がいる 銘振り、年紀「日」の字をずらす − 刀は右へ、太刀は左へ 【他への入札】 興正・助直 − 時代、貞享・元禄頃、反りが深く、元先幅差付かず、切先大きく伸びる 法城寺 − 直刃調に互の目、小さく足が頻繁に入る 帽子、焼き込まず、直ぐに小丸に返る 鎬低く、ペタンとした感じ |
天位 | 73点 | 1名 |
地位 | 65点 | 1名 |
人位 | 63点 | 2名 |
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 刀 津田近江守助直 元禄二年二年 以地鉄颪作之 |
刀美546号の「五号刀」 姿、身幅広く、元先幅差それほど付かず、反り深く付き、切先が延びる 貞享・元禄頃の姿、寛文新刀よりやや下がる 助直、一竿子忠綱、虎徹の弟子に見られる姿 大坂新刀には2尺1寸なく、2尺に近い寸の詰まったものが結構見られる 鍛え、板目非常に良く詰んだ精緻な肌となり、地沸が厚く付き、地景が細やかに入る 冴えた鉄になる 焼刃、腰元にやや長めの焼き出しを見せ、大互の目に小湾れを交える 濤爛の乱れ匂い深く、沸え厚く、匂い口が深く冴え、師の助広に迫る 【助直の特徴】 濤爛の中に互の目かかる刃が交じり、刃先の谷がそれほど深くならない 助広に比して、全体的にゆったりとした濤爛に見られる 刃中に細かな砂流しかかる 寛文8年〜元禄6年までの年紀作があり、本作は晩年作 近江守受領は寛文9年8月、延宝になっても近江大掾銘あり 延宝3年に津田姓を切ったものがあるが、途中暫く切らない時期があり、天和2年に 助広が没した後、再び津田姓を切るようになる −助広の後継者としての位置高い |
二号刀 | 刀 和泉守藤原国貞 |
菖蒲造りであることが時代特定を難しくしている 姿、身幅広く、寸法が延びて、反りが付いて、重ねが厚い 平造り・片切刃・鵜の首造りに変換する慶長新刀期のもの 鍛え、板目総じて良く詰み、処々杢を交え、白け映り全く見られない 焼刃、指し表に焼き出し風があり、その上に互の目・小湾れ・角張る刃を交え、匂い口が 締りごころとなる 慶長新刀期で上記の鉄に高低のある関風の刃を焼く −>之定を意識した特異な作風になる堀川国儔 焼刃、互の目・箱掛かる刃・尖った刃、匂い口が締る 鍛え、板目が詰んだ肌が比較的多く、腰元に焼出しを見せる 堀川派は、貞宗・志津を範として焼刃が低く、浅く湾れる 帽子、浅く湾れて先尖る三品風となるか、刃先に倒れ地蔵風 国儔の実質的な指導を受けたのが、親国貞・初代国助 国貞の初期作、国儔の作風をそのまま継承、銘も同じような国の字を切り、 下にいって大きくなり、歪んだようになる寛永4年以降になると小さな銘になる 本作、普段の親国貞の銘より大きく、縦に延びたような銘を切っているため初期作 元和7年以前に大坂に移住、元和9年(寛永元年)和泉守受領 【親国貞への絞り込み】 棟焼きが非常に明瞭に見られる 物打ち・三つ頭の辺りに飛び焼きかける 【鑑定のテクニック】 末関風で美濃伝に入札して時代違いイヤ 堀川国儔へ 【国広一門】 志津風の刃、ザングリした肌合 【末関諸工】 流れ肌、白け映り、匂い口沈む、帽子倒れる |
三号刀 | 太刀 長船住元重 |
姿、腰元の踏ん張りが完全に抜けており、摺り上げ 或いは大摺り上げであるが、 腰反り非常に強く付く太刀姿 身幅狭く、細身の体配で切先が小さい−>鎌倉前期まで時代を上げたくなる姿 【鎌倉末期の体配】 元先幅差が付き、ゴリッとしたタイプ 細身のタイプ 鍛え、板目が非常に処々強く流れ、柾 掛かる肌、全体に肌立ち、映り淡く立つ−>備前物 焼刃、直刃の中に角張る刃・片落ち 互の目・互の目調の刃・部分的に逆掛かる刃・行儀よく連れた刃 −>景光・景政・兼光の全期作・元重・雲類 【元重への絞り込み】 柾掛かる肌が顕著 <−東博、奈良県談山神社旧蔵の生ぶの太刀、腰元より上の肌が柾鍛えに近く 強く流れて肌立つ 地鉄が弛んで疲れたような肌 −−元重・盛景(長船正系の傍の刀工) 鍛え肌がガサつき、映りもぼやけた感じ −−近景・盛景(南北朝期) 焼頭が一直線に揃った互の目を連ね、 互の目の大きさが不揃い、部分的に間延びする 帽子、乱れ込んで先が尖って返る 刃中が非常に沸える −> 備前物に見えない 刀美546号折り返し銘の元重(嘉暦・元亨頃)が既に沸え付いている −>南北朝期には相伝備前あり |
四号刀 | 短刀 備州長船政光 貞治○年六月日 |
姿、身幅広く、重ね非常に目立って薄く、反り浅く付く 延文・貞治期の体配に比べ、身幅の割に寸法が伸びず、詰まってズングリとしている −− 短刀にはこのような体配もあり 【南北朝期 薄い造り込み】 薄くなる 長谷部・青江・備後法華 薄くならない 相州物(広光・秋広) 鍛え、板目非常に詰む肌合、焼刃の上に鮮明に直映り立つ −> 備前物 焼刃、互の目、角張る刃、片落ち互の目を交え、これを連ねた焼刃となる −> 兼光一門が考えられる 湾れ調の焼刃もある 本作、非常によく出来ており、貞治の最も年紀が上がる作で、兼光に近接、兼光の 貞治・延文の作に政光の代銘がある −>代作にも任じていたのでは 【政光の特徴】絞り込みは消去法しかない兼光に比して一格落ちる 鍛え、良く詰むが、地沸の付き方・地景の働き乏しく、地鉄の潤いやや欠ける感がある 焼刃、互の目が目立った中に片落ち互の目が交じる 腰元に小模様の刃交じる −>次の時代の小反物に繋がる焼刃 匂い口があまり冴えず、小模様の乱れ処々に見られる 永和、小反の時期(南北朝後期)は、板目に杢、流れる肌 地景風の黒い鉄が交じる 焼刃、整わず、さまざまな小模様の刃交える <− 作風変化 【兼光】 焼刃、角張る刃が目立った中に片落ち互の目交じる 【基光】 兼光の角張る刃を継承、板目が肌立つ、湾れ刃もある 【倫光】 兼光の湾れる刃を継承、兼光にせまる出来口を示す 角張る刃もある 【景光】 晩年作に大振りの作あるが、反り付かず或いは内反り |
五号刀 | 刀 備前国住長船次郎左衛尉 藤原勝光作 永正六年八月日 |
姿、2尺に欠け(1尺7寸9分)寸の詰まった 形状、先反り強く付く、片手打ちに適した打刀の形状、時代、戦国、室町末期 彫物、表裏に倶利伽羅・摩利支天 腰元にぐっと詰めて彫る <−室町末期、全国的に共通した特徴 倶利伽羅の竜の顔が真横から彫られ、鼻がしゃくれ上がった感じ 鍛え、板目良く詰み、淡く映り出る −>備前物 焼刃、刃中に足・葉入り、金筋、砂流し、働き、匂い口明るく冴える 帽子、返り長く焼き下げる 【末備前の特徴】 互の目、丁子、腰開きの刃を交え、足・葉良く働き、小沸出来となる 帽子を返り長く焼き下げる、或いは、深く焼く 【勝光の特徴】 腰開きの刃を交えた中に丁子風の刃が目立ち、変化に富んで華やかな焼刃を 示す 【祐定】 複式互の目、腰開きの刃の頭にもう1つの互の目を交え、二段の乱れとなる 【清光】 直刃を好んで焼く、沸がむら付き崩れる 刃中に足・葉入り、刃先に垂れ下がる −>「よだれ」 板目に杢を交え、肌立つ 彫物・倶利伽羅少ない 【則光】 永享備前 −− 応永備前に近い作域 【祐光】 匂い勝ちに小沸付く焼刃 腰開きの刃をゆったり焼く |
天位 | 78点 | 3名 |
地位 | 70点 | 1名 |
人位 | 63点 | 1名 |