当支部会員参加による行事日程
古式日本刀鍛錬 一般公開 刀匠、研師、柄巻師、鞘師、白銀師の実演 |
1月2日、10月は関市「刃物祭り」開催日 3月、4月、6月、7月、9月、11月は第1日曜日 |
平成15年度「支部活動」日程
支部活動 | 期 日 |
(1)第1回研究会・支部総会 | 平成15年6月21日 |
(2)第2回研究会 | 平成15年8月30日 |
(3)第3回研究会 | 平成15年10月4日 |
(4)第4回研究会・懇親会 | 平成16年1月25日 |
(5)第5回研究会 | 平成16年3月13日 |
平成16年1月25日研究会
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 太刀 真景 |
重要美術品 姿、鎬造り、腰反り強く、先に行き細くなり小切先となり、古雅な太刀姿 鍛え、大杢目肌、肌立ち、地沸付き、地景交え黒味ががり、乱れ映り立ち、一見して 古風 焼刃、沸出来の小乱れ刃に、金筋、砂流し交え、地に金筋が抜けて地景となり、地刃の 境が明瞭でない 帽子は、残念ながら、焼が明瞭でない 姿、地、刃を見て、平安期に掛かる古風な所が見て取れ、自ずから、国は、絞り込める 古備前等に比べ、地鉄に野趣が有る点等を見て、個銘当りは難しいが、古伯耆が導ける 真景は、大原真守の子、もしくは、一族と考えられる刀工で、現存品は稀 【参 考】 刀剣博物館 四月の展示(H16)「尾津喜之助翁寄贈品展」 |
二号刀 | 刀 肥前国忠吉 | 姿、鎬造り、反り浅く、切先伸び心に纏め、丸止めの樋を掻く 鍛え、小杢目肌良く詰み、地沸付く、精良な鍛え 焼刃、沸出来、やや低めの直刃に、所々に湾れ、小互の目を交え、足、頻りに入る はばき元に水影が立つ 切先は、綺麗な小丸にならず、やや、焼崩れて整わない感がある 五字忠吉銘であるが、常の肥前刀とは、趣きを異にして、古雅な風が有る、初期の作で、 直江志津辺りをねらっていると思われる 肥前刀は、二代、三代で完成され、初代には、まま、この様な試行の跡が見られる作が あり、地鉄の特徴、匂口に互の目がある点等を見て、忠吉への入札は可能か 【参 考】 刀剣美術 第565号 第4号刀 |
三号刀 | 太刀 備前長船家助 永享九年 |
姿、鎬造り、重ね厚く、先反り付き、切先、やや延びごころがある 鍛え、板目に杢目交じり、乱れ映りが明瞭に現れる 焼刃、幅広く、匂本位の丁子乱れに、腰の開いた乱れを交える応永備前の作風で あるが、刃紋にやや纏まりを欠く 帽子、乱れ込み、先、ロウソクの芯状に尖る風がある 姿、刃文を見て、応永備前を導き出し、刃文に康光、盛光等より、纏まりがなく、洗練 されない気味がある点を考え、家助の個銘を出すのも可能か |
四号刀 | 短刀 政清 応安元十二八 |
コンプトン博士 寄贈品 姿、平造り、身幅広く、浅く反り付き、重ね薄く、差し裏銘となる 地鉄、小杢目肌に、白気映りが立ち、棟寄りに杢目肌が肌立つ 焼刃、匂い出来の幅低い直刃で、匂口沈みごころとなり、締まり気味になる 帽子、小丸に返り、返り、やや倒れる 身幅広く、反り付く形状から、南北朝期の作と見て、地鉄に、青江風があり、白気映りが 出て、匂口沈むことから古三原に導かれる 【参 考】 刀剣美術 第489号 誌上鑑定 |
五号刀 | 刀 武蔵大掾是一 |
姿、鎬造り頃合の姿に、やや先反る 鍛え、杢目に板目流れて、柾目掛かり、鎬地は柾目となる 焼刃、一文字風の大乱れの重華丁子を焼くが、匂口締まりごころとなり、 帽子は、乱れ込まず、締まって小丸に返る 地鉄、刃、特に、帽子の焼を見て、古刀の一文字とは、相異しており、新刀と分かる 新刀で、重華丁子を焼く刀工であれば、石堂一派に導かれ、刃文の形状、帽子の焼を 見て、江戸石堂、福岡石堂が入札としては良い |
平成15年10月4日研究会
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 太刀 (朱銘)来国光 | 紀州徳川家伝来、特別重要刀剣、地刃、健全の優品 姿、鎬造り、身幅広く、先幅、元とさほど変わらず、豪壮な姿となり、中切先に結ぶ 鍛え、板目に杢目交じり、地沸き付き、地景、頻りに入り、冴える 焼刃、沸出来の直刃仕立てに、足、葉、頻りに入り、金筋、稲妻交じる 帽子、直に小丸に返り、刃中、足入る 地刃が、あまりに健全で、身幅も有り、一見、新刀に見紛うが、 刃中の働き、帽子が、単調な小丸でなく、来の特徴が良く出ている 地鉄に地景入り、相州伝が強調されている点を考慮すれば、個銘も可能 |
二号刀 | 短刀 貞興 |
姿、平造り、八寸代の尋常な長さに、先、やや内反り中心、鑢目、檜垣となる 鍛え、柾目に地沸き付き、鍛え割れを見る 保昌は、大和伝の中でも、特に柾目肌が顕著 焼刃、小互の目交じりの細直刃、ハバキ元に、腰刃を、表裏とも焼く 地鉄に、元から先まで、顕著な柾目を見る点、柾目割れが出る点等を見れば、 個銘当りは、やや難しいが、大和伝、保昌に導ける |
三号刀 | 脇指 備州長船実光 応永十六年五月日 |
姿、鎬造り、細身の姿に、先反りが強く、切先が小さい、応永備前の特徴が見える 鍛え、杢目肌、肌立ち、大肌交じり、乱れ映り立つ 焼刃、腰の開いた乱れに、むっくりとした、丁子乱れが交じり、 帽子、乱れ込み、先、尖りごころ 実光は、現存作少なく、個銘当りは難しいが、地、刃、姿に応永備前の特徴が顕著で あるので、同然には導ける |
四号刀 | 刀 長曽祢興正 (金象嵌)延宝二年八月吉日 弐胴切断 山野勘十郎 花押 |
姿、鎬造り、反り浅く、鎬高く、重ね厚い 鍛え、良く鍛えられ、地沸き付き、小板目詰むが、やや、ザングリし、鎬地、荒く柾立つ 焼刃、幅広く、互の目を連ねた数珠刃で、刃沸粗く、飛び焼き掛かり、バサケる気味が ある 帽子は、横手上に互の目を焼き、その上、奇麗に小丸に返る、虎徹帽子になるが、 返りが硬く、拙い 姿、刃文の形状、帽子の特徴などから、虎徹を導くのは、比較的容易だが、虎徹に 比して、荒い沸きが付くなど、総じて、技量が劣る所を見て、興正に入札も可能か |
五号刀 | 刀 津田越前守助広 延宝九年八月日 |
姿、鎬造り、二尺五寸の長寸で、反り浅く、身幅広く、先、元に比べ、やや細まり、 中切先となり、寛文新刀の体配 鍛え、小板目、良く詰み、地沸き、細かく付き、冴える 焼刃、刃縁ふっくらとした、大互の目、三角形や角張る刃を交えた、華やかな濤爛刃を 焼く 濤爛刃には、刃中に砂流し掛かった物もあるが、この刀は、刃先まで沸付く 助広の特徴を、良く備えた優品で、個銘当りは、比較的容易 |
天位 | 95点 | 1名 |
地位 | 90点 | 1名 |
人位 | 80点 | 1名 |
平成15年8月30日研究会
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 太刀 (折返し銘)備前国住雲 (以下不明) |
姿、鎬造り、摺り上げ、折返し銘 摺り上がっている為に、踏ん張りが弱く、雲類の特徴である輪反り姿に中切先延び ごころになる 鍛え、板目に杢目交え肌立ち、淡い映り立つ 太刀裏の映りが強く、特に中程から、上半にかけて黒い指で押したような地斑映りが 現れる 焼刃、直刃調に小互の目、小丁子交えて逆ごごろあり、足、葉、良く入る 直刃調の刃文に小丁子、地鉄が肌立つ所などから、時代を下げて見てしまいそうに なるが、反りが、腰反りでなく、鳥居反りで、中間にくる所から鎌倉末期の作、 備前物で、肌が山城伝が強い所などを見て、鵜飼派の刀工に入札できる 雲類で、特に、雲次に絞る点は、強く肌立つ点 |
二号刀 | 脇指 三条堀川住義国 |
姿、やや細身の姿で、先幅と元幅の差が少なく、中切先延びごころになり、 寛文新刀期のものより、やや反りが付き、やや時代の上がる寛永、正保の体配 鍛え、板目に杢目交じり、地沸付き、肌立ち、地景入り、ザングリとする 焼刃、沸出来で、匂深い大互の目と、下半は、匂口の締まった小互の目に、二つ連ねた 互の目を焼き、刃中に激しい砂流しが掛かり、帽子は、中程が弛んだ三品風 この工は、作品少なく、個銘当りは難しいが、肌がザングリする点から堀川一門、 帽子に三品風のある点等を見て、出羽大掾国路とその一門が導き出せる |
三号刀 | 刀 陸奥守大道 |
姿、身幅広く、反り浅く、切先が伸びた、一見、慶長新刀の体配をしているが、鎬幅が 広く、帽子が一枚風の焼きになる点が、室町末期の作風を示す 鍛え、小板目詰み、鎬地、柾目が強く、総体に白気映りが立つ 焼刃、大互の目乱れに、焼きの谷が直刃状になり、さらに、二つ連れの互の目、 兼房丁子交え、所々、交互に規則正しく焼く これらの特徴から、末関物が考えられ、更に、作風が、垢抜けてるので、新古境の 刀工、若狭守氏房、出雲守氏貞の兄弟、大道辺りに絞られる 大道の作は、殆ど、短刀、脇差に限られ、刀は、数振りしか知られていない |
四号刀 | 脇指 石堂常光 |
姿、元幅に比して、先幅狭まり、浅く反り付き、中切先詰りごころとなる、寛文新刀の姿 鍛え、小板目詰み、乱れ映りが見事に立つ映りが規則正しい感が有る 焼刃、幅広く、匂口の締まった、一文字風の丁子乱れ、帽子、奇麗に小丸に返る 見事な丁子乱れに、乱れ映りを現すが、帽子の焼きが乱れ込まず、単調な小丸になる 点が、古刀と明かに相違 新刀でこの作風から、石堂一派に絞るのは容易 帽子の焼きが直ぐの点から、大坂石堂は外れ、福岡石堂は、刃幅の変化大きく、 胴長の逆掛かった袋丁子を焼く点から異なり、江戸石堂となる 刃文がこずむ点が、常光の特徴とされており、この刀にもその特徴が顕著 |
五号刀 | 刀 兼元 |
姿、常の関物よりも長寸で、2尺5寸強ある 鎬地を削ぎ、鎬高く成り、重ね、やや薄く平肉乏しく、先反りが強く、切先のフクラ枯れる 造り込みから、室町末期の打刀 鍛え、小板目肌積むが、流れ柾交じり、白気映りが、全面に現れる 焼刃、尖った互の目を連ねた、いわゆる三本杉の刃文であるが、 後代の規則正しいノコギリ刃状の物で無く、幅狭く、焼の先が丸く揃わず趣ある 末関、兼元と見るのは、難しいことではなく、 二代孫六兼元は、必ずしも三本杉が揃わず品がある |
天位 | 73点 | 1名 |
地位 | 65点 | 1名 |
人位 | 63点 | 2名 |
平成15年6月21日研究会
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 太刀 備州長船盛光 応永十二年八月日 |
特別重要刀剣 姿、鎬造り、 踏ん張りの有る、勇壮な姿で、やや先反りがあり、身幅広く、健全、 中心生ぶ 鍛え、柔らか味があり、杢目肌詰み、大肌交わり、棒映り立つ 焼刃、幅広く、腰の開いた乱れに、大房丁子交わり、匂深く 帽子、乱れこんで、先尖り、返り浅い 一見、刃紋の感じから、応永よりも、もう少し時代を下げたくなるが、地刃の良さ、冴え、 帽子の先が一寸尖りごころとなり、棒映り立つことから、 応永備前、個銘当りも可能か |
二号刀 | 太刀 正恒 |
姿、鎬造り、 鎌倉前期の作で有るが、平安期の姿があり、華表反りとなり腰反り強く踏ん張りある 鍛え、小板目肌良く積み、所々変り鉄交わり、地沸付き地景交じり、精良で、地斑映り 立つ 焼刃、直刃調の小乱れ、小丁子で、足、葉しきりに入り、金筋、稲妻盛んに働き、刃沸が 強い 帽子、刃紋に応じて乱れこみ浅く返る 姿、地、刃に古調があり、刃沸が強い所から、古備前期の作となり、この期を代表する 刀工、正恒に導ける |
三号刀 | 刀 (無銘)青江 |
沼田、土岐家伝来 姿、鎬造り 大磨り上げであるが、身幅広く、大切先になる、南北朝期の典型的な体配 鍛え、杢目肌詰み、澄鉄を見せ、青江の特徴である段映りが立つ 焼刃、直刃調で、足、葉入り、締まりごころがある 帽子、横手から突き上げて先とがり心に返る、青江帽子となる 南北朝期の姿、地鉄、段映り、帽子の焼き具合から、青江が容易に導かれる |
四号刀 | 短刀 来国光 |
姿、平造り 鍛え、小杢目肌良く詰み、地沸付き地景現れる精良な地鉄の中に、 調子の弱い来鉄が見え、乱れた沸映り立つ 焼刃、沸の良く付いて、湾れる 地鉄の具合から、来の作と分かり、沸良くつく所、姿から、個銘当りも可能 |
五号刀 | 刀 備前長船康光 永享十年八月日 |
姿、鎬造り 磨り上げながら、二尺四寸の長さが有り、身幅狭めの優しい体配 鍛え、杢目肌詰み、棒映り現れる 焼刃、腰の開いた乱れに、角張った互の目を焼く 応永備前の康光ではなく、代下がりの康光である一号刀が、応永備前なので迷うところ だが、応永備前よりは、作位が劣る所や、刃紋から、永亨備前に入札できる 備前刀の時代区分として、応永備前と、文明以降の末備前に分けるが、それらの 中間で、異なる特質を有する物を、永亨備前と呼ぶ 代表工は則光、祐光、利光 |
天位 | 78点 | 3名 |
地位 | 70点 | 1名 |
人位 | 63点 | 1名 |