当支部会員参加による行事日程
古式日本刀鍛錬 一般公開 刀匠、研師、柄巻師、鞘師、白銀師の実演 |
1月2日、3月,4月,6月,11月の第1日曜日 10月は、関市「刃物まつり期間」に開催 |
平成21年度「支部活動」日程
支部活動 | 期 日 |
(1)第1回研究会・支部総会 | 平成21年5月31日(日) |
(2)第2回研究会 | 平成21年7月12日(日) |
(3)第3回研究会 | 平成21年9月6日(日) |
(4)第4回研究会 | 平成21年11月15(日) |
(5)第5回研究会・新年懇親会 | 平成22年1月24日(日) |
(6)第6回研究会 |
平成22年3月28日(日) |
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 太刀 無銘(波平行安) |
重要刀剣 体配、鎬造り、庵棟、小切先、腰反り、元先の幅差大きく踏ん張り、 先伏さる古雅な姿。 元来は鎬幅広めながら今は先を残して 鎬筋が棟に寄る 鍛え、板目肌立って流れ、刃寄り綾杉ごころとなり、地沸付いて 地景入り、水影映り立つ 刃文、小沸付いた細直刃調、鍛えに連れて僅かに乱れ、 盛んに沸筋、金筋が掛かり、処々ほつれ、打ちのけ掛かり、 腰を焼き落とす 帽子、直ぐに焼き詰め 茎、生ぶ、鎬筋甘くなって平肉付き、先栗尻、棟小肉、刃方は 雉腿風、鑢目不明 重刀指定では無銘とあるが、かろうじて底銘の如き名残を留める 新版日本刀講座古刀編に鎌倉初期まで遡る在銘刀は「笹貫」と 号する太刀と猿投神社御神宝の二振りのみとあり、それに 準じて貴重 入札、大きな焼落しを捉えて、豊後行平と僧定秀が多く、綾杉肌と 見た札には宝寿,月山があった 前者は、地鉄が一段とねっとりして、刃文はうるみ加減となる 後者は、綾杉ごころであって、総体には板目鍛えとなる 【茎画像】 【銘画像】 【全身押形】 |
二号刀 | 脇指 日州古屋之住実忠作 永禄十年八月吉日 |
重要美術品 体配、表、平造、裏、菖蒲造、三つ棟、中筋狭し 身幅広く、重ね厚め、寸延びて、反り浅くつき、先反りごころ 鍛え、小板目詰み、地沸付く 刃文、焼き深く、互の目乱れ、尖り刃・矢筈刃・角ばる刃・小湾れ 交じる。 刃中に細かな砂流し、地に飛焼き・湯走り掛かる 帽子、直ぐごころに小丸、先掃き掛け、返り、深く焼き下げ、 その下も断続的に棟焼き掛かる 彫物、表に刀樋、裏に梵字(陰刻)を彫り重ねる 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 【全身押形】 参照 刀剣美術479号 |
三号刀 | 太刀 忠重 | 特別重要刀剣 銘鑑の欠を補う作者。 出来が優れ、作品はこれ以外に無いか。頗る珍品。 体配、鎬造、庵棟、身幅やや細く、反り高く、腰反り付き、 踏張りが有り、先に行って反り浅めとなり、小切先に結んで、 優美な太刀姿となる 鍛え、板目に杢交じり、よく練れて、所々少し流れごころの 肌合交じる。地沸付き、地景入り、地映りは区際より水影状に 立つもの以外は見られない 刃文、直刃調、物打ち辺りを除き、総じて刃幅広く、小乱れ、 小丁子交じり、足・葉が繁く入り、匂い深く、小沸付き、 腰刃を焼き、その付近は金筋掛かり、匂い口、明るい 帽子、直ぐに小丸、先僅かに掃き掛ける 茎、生ぶ、先、刃上がり栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔二 【茎画像】 【全身押形(元画の紙折れにより歪み)】 参照 刀剣美術548号 |
四号刀 | 短刀 備前国住長船新左衛門尉法光 永正十八年二月吉日 |
重要刀剣 体配、平造り、角棟、筍反り 短寸ながら極端に重ねの厚い鎧通し姿 刃文 、表を直刃、裏に互の目乱れを焼く、所謂「児の手柏 (このてがしわ)」 末備前にこのような刃文は類例が無く、そのため、 勝光・宗光合作と断った入札が散見された 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 【全身画像(表)】 |
五号刀 | 刀 備前国住長船与三左衛門尉祐定 為弥次郎重代作之 大永二年八月吉日 |
重要刀剣 体配、鎬造り、二尺を僅かに超えた先反りのつく片手打ち姿 鎬を盗む造り込みで末備前と素直に捉えられる。 刃文、「蟹の爪」と称される独特の乱れ刃であり、出来の良さから 祐定の中でも与三左衛門尉とした入札が幾つかあった 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 |
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 太刀 宗吉 |
重要美術品 古一文字の刀工、(比較的)在銘作多し 作域に幅有り、古備前に似るもの、古一文字然としたもの 姿、細身、小切先 摺上げ、踏ん張り抜けて、時代を迷うところ 乱れ映り、鮮やかに立つ 鎬を超えて、鎬地まで、黒っぽい地斑状の映りが入り込む これだけで、時代設定、鎌倉初期以降は無い 刃文、直調子に、小丁子、小互の目、小乱れ 銘、小振り(本作)、大振りの両様有り、両作に重美 ・小振りのもの ・・・ 刃取り、古調、古備前に似る ・大振りのもの ・・・ 丁子目立つ、古一文字 【茎画像】 |
二号刀 | 太刀 長光 | 姿、細身、小切先 摺上げ、踏ん張り抜けて、時代を迷うところ 全体的に一号刀を縮小したような体配 作風、刃文、焼きが ・絢爛、華やかなもの ・・・ 2割 ・有る程度あるもの ・・・ 4,5割 ・優しい、寂しいもの ・・・ 正安年紀、晩年作か 刃文、本作、上半、直丁子、下半、乱れ刃 帽子、本作、典型的な、三作帽子 ・刃文、直調子、寂しい ・・・ 三作帽子 ・乱れ出来、丁子刃 ・・・ 乱れこむ 【茎画像】 |
三号刀 | 短刀 来国次 | 姿、鎌倉末期から南北朝最初期の、典型的な短刀姿 九寸前後、身幅広く、反り付かず 刃文、湾れに互の目、沸映り立つ 入札、来国光か国次 国光・国次の違い(あくまで、傾向) ・刃幅あるもの、沸強いもの ・・・ 国次 ・焼刃が低め、互の目目立つもの ・・・ 国光 【茎画像】 |
四号刀 | 刀 村正 | 村正、典型的な出来口 姿、二尺二寸、短め、身幅広く、先反り付く 刃文、上半が直刃、 下半が連れた互の目の間をあけて直刃で繋ぐ 上半・下半で調子が異なる焼刃 ・末備前、平安城長吉、村正に有り 村正と関物の違い ・村正 ・・・ 箱掛かり、角張った刃、表裏が同じ刃取り、 匂い口が沈む ・関物 ・・・ もう少し、白ける 【茎画像】 |
五号刀 | 刀 藤原広実 | 堀川国広、古参の弟子、在銘作4,5本のみ 姿、反り、浅い 地鉄、地肌の強さ、明るさで虎徹・繁慶に及ばず、 堀川特有にザングリさが無い 刃文、華やかに、かなり上下に乱れる 国広然としたものも有るが、深い湾れに互の目ではない 匂い口、沈みごころ、バサけたところ、締まったところ、混在 帽子、三品風に湾れて、小丸ごころに返る 【茎画像】 |
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 脇指 同作彫之 長曽祢興里虎徹入道 (裏)金象嵌截断銘 |
各書に所載される有名な作品、重要刀剣 虎徹の特色は、強い地鉄、刃文がパッと明るく冴えて、 作風は、@前期作とA後期作に大別、境目は、寛文四年頃か 元来、越前の甲冑師、「半百歳に江戸出府、刀鍛冶となる」 との云い伝え有り @前期作・・・ハネトラ時代、銘の書体で 匂い口,刃縁が締まった、大模様の互の目 焼きに高低があり、部分的に互の目二つ連れる 低い互の目と高い互の目を縦に割った形より、 「瓢箪刃」と称される A後期作・・・ハコトラ時代 匂い口が広く,深くなる、沸足が入いる 刃文はこずみ、頭が揃う互の目が連れる 数珠を縦に割った形より、「数珠刃」と称される 本作、前期作であり、刃文、典型的な「瓢箪刃」となる 表裏に二筋樋を丸留め、指表に梵字、指裏に 「大黒天」の 彫物 江戸新刀ながら、焼き出しが有り、横手で互の目を焼き込む 「虎徹帽子」となって返る 刃縁、締まりごころなるも、刃が冴える 体配、非常に身幅の広い、切先が伸びて、大仰な姿となる この体配は、脇指に限る 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 |
二号刀 | 太刀 備州長船次行 | 秀光,恒弘,家守等の小反り派と呼ばれる、南北朝後期、 室町に近づく頃の刀工群 造り込み、延文・貞治期の身幅広く,切先が伸びた大振りのもの から、おとなしい体配となる 地鉄、長船正系に比して、鍛え肌が少し緩み、 映り立ち、前時代のおうとつ有るものから、直ぐの棒状となる 景光・兼光・・・作風、連れた角互の目、または沸出来の湾れで、 刃文が規則的となる 小反り・・・刃縁が締まりごころ、刃文こずみ、小丁子,小互の目, 尖り刃を交えて不揃いとなる 応永備前・・・鎌倉中後期の復古調な体配、華やかな丁子乱れ 福岡一文字,忠光,畠田真守のような 【茎画像】 |
三号刀 | 脇指 備前国住長船次郎左衛門尉 藤原勝光作 永正六年八月日 |
末備前、室町中期以降、太刀がすたれ、打刀が主体となる 打刀の姿、片手打ちで茎短く、反り具合、下半から先に 映り、あまり目立たないが、映り立つものも有り 【末備前の代表刀工】 祐定・・・大模様の互の目乱れ、 複式互の目とも云う、焼き頭が複雑に割れる 清光・・・広直刃、足,葉入る 勝光・・・互の目,丁子,尖り刃を交える、華やかな焼刃 本作、倶利伽羅龍の彫物が有り、典型的な勝光 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 |
四号刀 | 刀 (一葉葵)主水正藤原正清 | 寛文期から新々刀期の間で、後継がすたれた、享保頃の 刀工で、正房の弟子 八代将軍吉宗、尚武政策により、江戸浜御殿にて鍛刀させ、 優秀作は茎に一葉葵紋を切ることを許す 薩摩では、一貫して、相州伝が永く好まれる 特色は、刃中沸付き、互の目,尖り刃に湾れを交えて金筋, 砂流しが目立つ 正清・・・太い金筋,沸筋が、焼き頭の上に集中して入る 帽子、激しく掃き掛けて、火焔帽子風となる 一平安代・・・正清と同時代の刀工、相対に湾れを中心とした おとなしい出来となり、鉄が黒味掛かる 焼き頭の上に金筋が入るものは少ない 【茎画像】 |
五号刀 | 太刀 真則 | 重要美術品 鎌倉前期から始まると云う、「則宗」を開祖する、 古一文字の作 備前一文字、重花丁子のような「華やかな」「大模様」の 作風が想起されるが、初期作は、刃文がこずんで、 穏やかとなる 平安末期から鎌倉初期に掛けての古備前物に似る 古備前の作風、造り込み、細身で切先小さく、姿優しい、 刃文、技巧味が少なく、刃中沸付く 古一文字の作風、古備前に比して、刃縁が締まる 刃文、小乱れ、部分的に互の目,丁子がハッキリとしており、 時代が下がる所以か 映り、地斑映り,黒映りとも云われ、指で判を押したよう、 黒っぽい部分が目立つ 本作、穏やかな沸付き 【茎画像】 |
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 刀 応斉藤城助弼教需 宗寛作之 嘉永六年八月日 |
重要刀剣、宗寛の傑作 姿、長寸で身幅広く、重ね厚く、深めの反り付き、大切先 地鉄、小板目肌詰み、地沸付き、綺麗 刃文、刃縁明るい、互の目乱れ、足よく入り、明るく冴える 帽子、大きく乱れ込み、中丸に返る 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 |
二号刀 | 刀 肥前国河内大掾藤原正弘 | 正弘、初代 姿、元先の幅差付き、重ね普通、腰反り気味、反り、美しい 銘、指裏に切る 地鉄、地沸付き、強く、綺麗 刃文、大互の目乱れを基調、矢筈風、兼房丁子風、飛び焼き 入る、変化の激しい焼刃、一見、皆焼風 帽子、激しく沸え、一枚、返り、棟焼きに連なる 【茎画像】 |
三号刀 | 刀 井上和泉守国貞 (菊紋)寛文十一年八月日 |
真改、国貞銘 姿、身幅、やや狭く、元先の幅差付き、反り浅い 地鉄、地沸よく付き、柾鍛えに近い大板目 刃文、沸出来の直刃、刃縁に金筋、砂流し掛かる 帽子、よく沸え、掃き掛け、中丸に返る 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 |
四号刀 | 脇指 相模国住人広光 延文五年三月日 |
特別重要刀剣 姿、身幅広く、重ね薄い、反り、中間に軽く付く、南北朝期の 添指 彫、刀樋、表裏、掻き流す 地鉄、地沸あまり付かず、大板目鍛えの肌 刃文、大互の目乱れ、飛び焼き入り、迫力有る焼刃、 刃中、金筋、砂流し、よく働く 帽子、大きく乱れ込み、先掃き掛けて、小丸に返る 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 |
五号刀 | 刀 肥前国住人伊予掾源宗次 | 宗次、初代 姿、元先の幅差、頃合、腰反り気味、反り、美しい 地鉄、地沸はあまり付かず、流れ気味の鍛え肌、 鎬地、柾 刃文、直刃に焼き出し、間を置いて、複数の互の目、連なる 乱れの谷、沸付き、砂流し掛かる 帽子、直刃、中丸に横手まで返る 【茎画像】 |
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 太刀 保弘 | 重美指定の作品、銘に長船住と有り、長船鍛冶の一人 あまり知られない刀工で、ここまで出来を示すのは、 長光の協力刀工か 活躍時期、長光の最晩年と景光の最初期に跨る時期 姿、元先の幅差が付き、切先も小さく結び、反りも高い 鎌倉前期の刀工であれば、より腰反り付く 重ね、比較的に健全に残る 茎仕立て、先に行くに連れて絞り、最後に広がって 栗尻となる 銘字、長船正系とは異なり、細鏨、綺麗で上手い 地鉄、弱い鉄交じるも、板目に鍛え、地沸厚く付き、 綺麗な鉄となる 映り、非常に鮮明に立つ 刃文、互の目に丁子が交じり、所々に小沸付くが、 匂い出来となる 物打ち辺り、焼きおさまり、穏やかな直刃調となる 帽子、典型的な三作帽子ではないが、ふくら丸く、 これに沿って、ほぼ丸く返る 【茎画像】 【参 考】 刀剣美術「第549号」掲載 |
二号刀 | 刀 国広 | 姿、身幅広く、元先の幅差付かず、反り、やや付く 南北朝期の磨上物をよく写した作品 磨上物は踏ん張り抜けるが、この寸法での 造り込みのため、裾が広がり、安定 二筋樋、鎬にピタッと付き、片チリ、樋が通る 重ね、薄く、平肉を付けず ハバキに隙間無く、研ぎ減りが見られない 地鉄、板目鍛え、肌立ち、所謂「ザングリ」と形容 一見、ガサガサした肌とも、乾いているとも 刃文、中直刃を基調、所々、湾れ、互の目入る 焼き刃全体に低いが、物打ち辺りで焼き幅が 広くなり、乱れが大きくなる 匂い口、太いところ、細いところ、幅に変化有り 【入 札】 正弘 : 古参の弟子、最も国広に近い 国安 : 古参の弟子の中で若手、刃文は派手目 一門で最も肌立つも、脇指によく詰んだ 作有り 国路 : 三品系の特色が出る、派手な刃文 【茎画像】 |
三号刀 | 短刀 備州長船兼光 延文五年三月日 |
姿、小振りで、反り、二分程 一見すると、鎌倉末期、尋常な寸法、身幅の 短刀に見えるも、時代上がるが大左・兼氏、 同時代の長義にこの姿有り ハバキを見ると、隙間が殆ど無く、元来から この重ね 地鉄、弱いところあるも、板目鍛えで、 肌立つことなく、綺麗 映り、淡いが棒映り立つ 刃文、上半、直刃調に、角掛かる、逆掛かる刃、 下半、明確な片落ち互の目 【入 札】 政光、倫光へは良い入札 吉井、直刃出来であれば、直ぐ映りとなるが、 下半、互の目であるので、映りが異なる 法華、互の目が連れる出来あるも、映りが 白け映りとなる 【茎画像(表)】 【茎画像(裏)】 |
四号刀 | 刀 (無銘)青江 | 小浜、酒井家伝来 鎌倉後期の青江、吉次極め 無銘なるも、ゴリッとして、健全な大名物 姿、元先の幅差がそれなりにつき、中切先に結ぶ 全体に反り付き、中反り風 地鉄、小板目、板目が交じり、よく詰んでいるが、 よく見ると、所々に黒っぽい鉄が交じる 肌模様として鍛えて、所謂「鯰肌」とはならず、 肌合いが綺麗 映り、棟寄りに全体に立ち、刃の近くに、薄く細い 直ぐ映り立つ、所謂「段映り」となる 刃文、匂い口が全体に締まって、綺麗な直刃となり、 明るく、物打ち辺りが小湾れとなる 帽子、鋭るどめに直ぐに小丸に返る 【入 札】 南北朝期の末青江の入札は、反りの位置から、 時代を上げるべき 次吉 : 直刃出来多く、時代古いもの有り 次直 : 逆丁子が多く 【茎画像】 |
五号刀 | 刀 長曽祢興正 (截断銘) |
興正としては、よく出来ており、 截断銘の延宝三年紀より、これ以前の作品 姿、元先の幅差が付き、反りが出始め、切先も 伸び始めている 庵棟、低め目、鎬地が比較的低く、ペタンとなる 地鉄、上半、板目、小板目がよく詰んで、沸付き、 鎬地、柾が強く、腰元に黒っぽい異質な鉄が 交じる 刃文、元に焼き出し有り、小湾れ、互の目交じり、 極端に出入りが無く、直刃の中にかるく盛り上げる 匂い口、幅広いところ、細いところ有り、沸深く付き、 明るく冴える 帽子、互の目が横手をまたいで、虎徹風となる 【入 札】 興正 : 虎徹の札で良いが、次の点から格を考える ・互の目が二つ連れるところがある ・全体的に刃がとげとげしい ・沸がこぼれ、沸付がバサける感有り ・湯走り風が入る ・帽子の表裏が異なる 和泉守兼重 : 興正とは同然にならないが、虎徹周辺を それないように 切先が詰まり、反りが更に付く 湾れが全体的に入り、そこに互の目入る 【茎画像】 |
鑑定刀 | 刀工名 | 鑑定・鑑賞見所 |
一号刀 | 刀 文化十一年八月日 直江助政造 為宮本左一郎嘱 |
重要刀剣 銘、太刀銘に切る 姿、身幅普通、反り高く、大切先 鎬幅狭く重ね厚いが、手持ち軽く感じられる 地鉄、地沸よく付き、明るい 刃文、刃縁沸深く、明るく冴える 上半分の出来、沸幅広く、真改を凌ぐか 【参 考】 刀剣美術「第335号」掲載 【茎画像】 |
二号刀 | 太刀 包永 | 特別重要刀剣 姿、身幅尋常、鎬幅広く、鎬高い、丁寧な磨上げ、 踏ん張り残る 銘、佩表茎先に二字銘 地鉄、板目、地沸厚く付き、地景入り、明るく冴える 刃文、直刃調子に僅かに湾れ、互の目交じる 物打ち辺りの焼刃幅広い 【茎画像】 |
三号刀 | 刀 信濃守国広 | 重要刀剣 姿、身幅、重ね尋常、浅い中間反りが付く 典型的な慶長新刀体配、大切先となる 地鉄、地沸よく付き、物打ち辺りに地景現われる 堀川肌の「ザングリ」感が見られず 刃文、焼き幅の低い小乱れの焼刃、横手下は焼き刃広く、 所謂、志津風となる 【茎画像】 |
四号刀 | 短刀 備州長船兼光 延文元年六月日 |
特別重要刀剣 地刃出来よく健全、藤丸拵が付くと云う 姿、身幅広め、長さ、重ね尋常、軽い中間反り付く 南北朝期の差添えの体配 地鉄、地沸付く板目に杢交じる 鮮明な棒映りに牡丹映り掛かる変化に富む 刃文、小沸出来の小湾れに互の目交じる 帽子、「兼光の蝋燭帽子」となる 【茎画像】 |
五号刀 | 短刀 兼法 | 姿、軽い先反りが付く室町末期の短刀姿 地鉄、柾鍛に近く、大肌現われる 刃文、兼房乱れの互の目、砂流し激しく掛かり、 飛び焼きとなる 帽子、大きく乱れ込み、地蔵風に返る 【茎画像】 |