当支部会員参加による行事日程

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 古式日本刀鍛錬 一般公開
 刀匠、研師、柄巻師、鞘師、白銀師の実演
 1月2日、3月,4月,6月,11月の第1日曜日
 10月は、関市「刃物まつり期間」に開催



平成27年度「支部活動」日程

支部活動 期   日 会   場
 回定例研究会・総会  平成27年 5月31日(日)   関市文化会館
 回定例研究会  平成27年 7月 5日(日)   岐阜市南部コミュニティーセンター
 回定例研究会  平成27年 9月27日(日)   関市文化会館
 回定例研究会  平成27年 11月 8日(日)   岐阜市南部コミュニティーセンター
 回定例研究会・懇親会  平成28年 1月17日(日)   ホテルスポーツパルコ
 6回定例研究会  平成28年 3月20日(日)   岐阜市南部コミュニティーセンター

※ 研究会に一般参加・見学を希望される方は事前に、住所・電話番号・氏名・年齢・職業を記してお申込み下さい。

申込先 : 〒500-8258 岐阜市西川手四丁目20番 日本美術刀剣保存協会岐阜県支部 
                                 e-mail 
houji@pg8.so-net.ne.jp

       (当日の飛び入り参加、および反社会的団体に関係する方は固くお断りいたします。)

尚、参加会費は 1,000円/1回 を申し受けます。

 
平成28年3月20日(日)平成27年度最後の研究会を岐阜市南部コミュニティセンタ-で開催しました。
 判者(講師)は博多支部長の米田一雄氏であり、支部の用意した鑑賞刀に加え、多彩な小道具を提供していただき、
    見ごたえある内容でした。
    鑑定刀と鑑賞刀・小道具は以下のとおりです。
    なお閉会後臨時理事会が行われ、岐阜県支部創設60周年記念イベントの説明と推進委員に若原利彦氏を選任委嘱
する旨の決議がなされました。



 

1号刀 太刀 銘 忠重(古備前)
 
  優雅な姿をした鎌倉前期を下らない古備前の太刀。小互の目に小乱れを交え、腰刃を焼く。 在銘作はこれ一振りとされる名品。



2号刀 短刀 濃州関之住兼英/慶長九年八月吉日
 
  身幅広く、一尺近い大振り姿に先反りの付く桃山期の短刀。 湾れ主調に小互の目を焼いて大道、氏房に近似した作域・技量を示している。

3号刀 太刀 雲生
 
  気品ある太刀姿に、匂い口締った細直刃を焼き、地には乱れ映り立つ。 三作風の帽子を焼き、青江風の鉄色を見せている優刀。


4号刀刀 盛吉(平戸左)
 
  激しい乱れ刃を焼き、末古刀であるが既に傍肥前の雰囲気を垣間見せている。 径眼希な刀工であり、的中は支部長ただ一人のみ。



5号刀短刀 筑刕三池住廣正作之/文禄三年二月日

  末相州の廣正とは別人。小板目よくつんだ地鉄に中直刃を焼き、帽子小丸に品よく返る。片切刃造りで円櫃内に恵比寿の肉彫がある。 本作も珍品であり、札は堀川國廣、肥前忠吉に集中した。



 

鑑賞刀・小道具の部
鑑賞刀一号 長巻直し 國家(延寿)
鑑賞刀二号 脇指 尾張國住荒鬼左助政常/寛文三年八月日
鑑賞刀三号 短刀 兼知作
鑑賞小道具 龍図目貫 後藤一乗
鑑賞小道具 龍図目貫 後藤顕乗
鑑賞小道具 龍図目貫 古美濃
鑑賞小道具 花卉文七宝縁頭 平田
鑑賞小道具 虎図鍔
 
 
平成28年1月17日(日)岐阜市内のホテルスポーツパルコにて新年研究会及び懇親会が行われました。
 今回は、関鍛冶伝承館での新作名刀展巡回展示決定の祝賀会を兼ねており、公益財団法人日本美術刀剣
 保存協会小野会長様、早川三重県支部長様・加藤三河支部長様をはじめ三重県支部・三河支部の方々も
 多数参加をされ、盛会となりました。
 まず最初に協会学芸の日野原先生よりお持ちいただいた鑑定刀で一本入札が行われ、全員が入札に
 チャレンジをして、天位に近藤岐阜県支部長、地位に同点で伊佐地氏、人位に早川三重県支部長が
 入賞されました。
 出題刀は以下のとおりでした。



   


  

 

1号刀 太刀 銘 國安(粟田口)
 刃長 二尺三寸五分半  反り 九分

  鎬造、庵棟、身幅細く、元先の幅差開き、腰反り高く踏張りあり、先へ伏しごころとなり、小鋒。
  地鉄は板目に杢目・流れ肌を交え、総体に肌合いが大きめで肌目が立ち、地沸細かにつき地景入り
  淡く沸映りが立つ。
  刃文・帽子図の如く、焼頭に雁股状の湯走り、二重刃が断続的にかかり、小足・葉入り、細やかに
  沸つき、処々匂口うるみ、金筋・砂流しかかる。
  彫物、表裏に二筋樋を丸止め。茎殆ど生ぶ(僅かに区を送る)、雉子股型となり、先栗尻、鑢目勝手
  下がり、目釘孔二中一埋(茎先に矢筈孔一)佩表元孔上棟寄りに二字銘があり、特に二文字目の字形
  にこの工の特徴が見られる。



2号刀 刀 金象嵌銘 盛景
 刃長 二尺三分強  反り 五分  鎬造 庵棟

  地鉄、板目に杢目を交え、総体に肌立ち、地沸つき地景入り、地斑現われ、淡く乱れ映り立つ。
  刃文、小湾れを主調に、角張る小互の目・小互の目・小丁子等を交え、総体に小模様となり、匂口
  沈みごころに匂主調に小沸つく。
  帽子、乱れ込み、先尖って返り、細かに掃きかける。
  彫物、表裏に棒樋を掻き流し、樋先下がる。
  延文・貞治型の大磨上姿で、地には淡く映りが立ち、刃文は湾れを基調として乱れ、帽子は乱れ込
  んで尖るという作風から、相州備前の盛景・兼光・長義等の札がみられた。兼光であれば板目が
  つみ、肌立つものであっても鉄色の明るい精良な鍛えが多いが、本作の地鉄は板目が肌立ち、処々
  に色変わりの地斑状の鉄や、やや緩んだような大肌が交じり、映りもやや淡く現れているなど、
  随所に大宮系統の特色が示されている。


3号刀 脇差 銘 長谷部国重
 刃長 一尺七分半  反り 一分  平造 三ツ棟

  地鉄、板目に杢目を交え、刃寄り棟寄りが流れて柾がかり、総体に肌立ち、地沸つき地景入る。
  刃文、細直刃、やや湾れごころを帯び、刃緑総体にほつれ、小足入り、沸よくつき、金筋・砂流しかかる。
  帽子、表裏直ぐに先丸く返り、金筋・掃きかけかかり、返りを深く焼き下げる。
  彫物表に素剣、裏に護摩箸。
  1尺を超える寸延びで、身幅広く反りややつき、重ねの薄い姿に直刃を焼いた平脇差。長谷部の
  短刀・脇差の地鉄は山城物としては肌立ちの強いものである。


4号刀 刀 銘 住東叡山忍岡辺長曽祢興里作/延寶二年六月吉祥日 
 刃長 二尺三寸 反り 六分半 平造 庵棟

  地鉄、小板目肌約み、淡く地斑状の変り鉄交じり、地沸よくつく。
  刃文、短く焼出しごころ、上、直刃調の小のたれ・互の目交じり、太く足刃入り、匂口深く、
  沸よくつき明るく冴える。
  帽子、横手を焼き込み、直ぐに小丸。
  元幅に比して先幅が狭くなり、中鋒で反りがややつくものの概ね寛文新刀の姿と把握される。
  また、大坂新刀や肥前刀に比して板目が約みながらも肌目が立ち、かつ鎬地の柾も目立つ鍛えと
  なり、刃文も互の目・小のたれが連れごころとなるところから江戸新刀と捉えることができる。
  鍛えに処々淡く地斑状の変わり鉄が現れ、刃文は鎺元が短く焼出し風となり、刃中に太い足が
  入り、匂口は刃緑が締まって明るく冴え、横手を焼き込み直ぐに小丸に返る独特の帽子となる
  特徴から虎徹と絞り込む事ができる。



5号刀 刀 銘 (一葉葵紋)主馬首一平安代
 刃長 二尺二寸九分  反り 五分  鎬造 庵棟

  地鉄、小板目に杢目を交え、総体にややかす立ち、地沸厚くつき、地景入り、鉄色やや黒みがかかる。
  刃文、直刃調に浅く湾れ、下半に小互の目小足入り、匂深く沸厚くつき、部分的に荒めの沸を
  交え、匂口明るい。
  帽子、表裏焼き深く、一枚風となり、長く返る。
  主水正正清と共に薩摩新刀の双璧といわれる主馬首一平安代の刀です。
  身幅広く元先の幅差がさまで開かず、重ね厚く、平肉が豊かにつき、手持ちがずっしりと重い豪壮
  な造り込みが多く見られる。
  安代は新刀波平伝を伝承した刀工であり、本作にもその影響が看取できる。
  鎬幅が広く、鎬の高い造り込みや沸の深い直刃調の様相にそれは現れる。一般の新刀波平以上に
  刃沸や地刀の景色、金筋の強調されるところに安代の見所がある。
  ただし、本作は、薩摩刀の特色である芋蔓風の長い沸筋や金筋が目立たない。
  さらに茎の銘を見ると「馬」の字の字形から、安代の養子の一平安在の代銘である。
  この場合、通常の安代の作より金筋・芋蔓の働きが少なく、刃沸も穏やとなる。



   

 

入札後、日野原先生よりわかりやすく丁寧な解説を頂戴いたしました。ありがとうございました。
 一本入札後は懇親会場に移り酒宴が催されました。小野会長からの新年のごあいさつでは、美濃刀の
 評価を上げるため、もっとPRしていこう。
 その為には協会は全面バックアップを惜しみませんとの力強いお言葉を頂戴いたしました。
 また、毎年恒例のビンゴゲームでは会員の皆様よりお寄せいただいたバラエティ豊かな賞品に支えられ
 今年も楽しく親交を深めることができました。
 ご協力いただきました皆様ありがとうございました
 




平成27年11月8日、岐阜市南部コミュニティセンターにおいて定例研究会を開催しました。
 講師は㈱舟山堂稲留社長の予定でしたが、所用により近藤支部長の代行となりました。
 出陳刀は以下のとおりです。


    

1号刀 太刀 銘 □□□

  刃長 741㎜  反り 24㎜  元幅 27.0(27.9)㎜  元重 6.5㎜  
  鎬重 7.2㎜  先幅 17.0(17.3)㎜  先重 3.9㎜  先鎬重 4.7㎜

  鎬造り、やや低い庵棟、腰反り深く踏ん張りつき、先、伏しごころに小切先で結ぶ。 
  鍛えは板目に杢交えて流れ、地沸ついて肌立ち、地景入り、淡く乱れ映りが立つ。
  刃文は直ぐ調の小乱れに小丁子・小互の目を交じえ、刃淵に小沸厚く付いてほつれ、足入り、
  金筋・砂流し頻りに掛かる。 帽子、表は直ぐ、先小丸風に沸くずれ加減。裏は小さく湾れこんで小丸。
  ささやかな二重刃が掛かる。 茎、雉腿に仕立てられ、先つまんで切、鑢目大筋違、茎棟僅かに肉、
  刃方厚みのある角。刻銘は朽ち込んで判読不能ながら下字には人偏の名残がある。

  第16回特別重要刀剣。格調の高い、古青江典型作。



                               二
2号刀 寸延び短刀 銘 信濃守國廣/慶長十二二月日

  刃長 306㎜  反り 1.0㎜  元幅 27.0(28.8)㎜  元重 7.0㎜ 

  平造り、真棟、重ね厚く、浅く反りつく。鍛、小板目明るくよくつみ、指し表腰元の鍛接目が大杢状となり、
  水影映りが立つ。刃文、匂い口沈み加減の直刃、浅く湾れごころがあり、刃淵沸づく。帽子、直ぐに先小丸、
  品よく返る。茎生ぶ、棟中肉、刃方角、先刃上り栗尻、鑢目筋違い、表は掛け出しに切鑢かかる。

  第46回重要刀剣。来國光写しの傑作。



3号刀 太刀 銘 備中國/住次直作

  刃長 697㎜  反り 17㎜  元幅 27.0(29.8)㎜  元重 5.2㎜  
  鎬重 6.9㎜  先幅 18.0(19.3)㎜  先重 2.8㎜  先鎬重 4.0㎜

  鎬造り、庵棟、身幅尋常、やや鎬高。彫、佩き表茎に八幡大菩薩の名残。鍛は小板目よくつんで艶があり、
  澄肌一面に現れ、乱れ映りが立って所謂鯰肌となり、二重刃、段映り掛かる。
  刃文は匂い口締まった中直刃、僅かに湾れごころがあり、小足、逆足入り、冴える。
  帽子乱れ込んで尖って返る。
  茎磨り上げて、折り返し、先切、原鑢判然としないが大筋違。
  
  第21回重要刀剣。刀剣美術誌701号所載。



4号刀 短刀 銘 兼宅作 

  刃長 183㎜  内反り  元幅 20.9㎜  元重 7.9㎜

  両刃(もろは)造り、丈やや短く、ふくら枯れてすすどしい。鍛えは小板目肌精良に詰み、
  地沸ついてゆったりと流れた結果柾掛り、鎬筋に沿って映り表れる。
  刃文匂い口明るく、よく沸づいた互の目乱れ。砂流しさかんに掛かり、処々刃淵ほつれ加減があり、
  やや荒めの沸と飛び焼交える。帽子焼深く乱れ込む。茎生ぶ、コミ短く、先丸みを帯びた剣形、
  鑢目やや緩角度の檜垣を丁寧に掛け、刃方棟方殆ど角。
  カネイエと読む。氏貞を想起させる刃取りであり地鉄も垢抜ける。
  両刃(諸刃)造りは専ら組み討ちに用いられる決死刀であり、為に入念作が多く、刀剣史上最も短寸の
  部類にありながら猛々しい気迫に溢れている。
  応仁以降文明頃から天正頃までの短期間に流行をみるが、現存数においては圧倒的に末備前が
  占めている。
  元亀・天正頃の末関主流短刀姿は幅広先反り姿、即ち首級を掻くに都合の良い造形にある。
  美濃と備前は戦国期における二大刀剣生産地であるがその対象とする顧客層に微妙な戦闘様式、
  或いは戦闘作法の差異があったことを茲に窺い知る。
  本作の如きは製作時期の上において両刃造りの掉尾と云え、希有である。



5号刀 刀 銘 備前國住長舩与三左衛門尉祐定/天文六年二月吉日

  刃長 623㎜  反り 25㎜  元巾 31.0(31.8)㎜  元重 5.6㎜  
  鎬重 8.7㎜  先幅 20.0(20.5)㎜  先重 5.1㎜  先鎬重 4.0㎜

  鎬造り、身幅広く、鎬巾広く、鎬を大きく卸し、中筋目立って細いやや低めの真棟。反り深く、
  切先延びる。鍛は小板目に地沸厚くつく。刃文は複式互の目を基調に複雑な小互の目、丁子を交え、
  よく沸づいて、金筋掛かり、足、葉よく入り、飛び焼き、棟焼き掛かって皆焼となる。
  帽子焼き深く殆ど一枚、先掃き掛ける。茎生ぶながら鎺下に新鑢掛かる。先栗尻、茎棟棟区下一寸迄は
  小肉、以下角、刃方は角、鑢目勝手下り。

  第50回重要刀剣。刀剣美術誌第695号「名刀鑑賞」所載



鑑賞刀 短刀 銘 長谷部国重
  刃長 260㎜  反り 1.8㎜  元巾 26.5(27.6)㎜  元重 4.0㎜ 
 
  平造り、真棟、身幅広く、重ね薄く、浅く反る。板目肌立ち、地沸厚くついて地景掛かる。
  刃文はよく小沸づいた草の乱れ刃、湯走りと金筋が頻りに掛かる。帽子表は角張った中丸、
  裏は激しく掃き掛けて火焔。茎、生ぶ、茎棟肉、鑢目表は殆ど切、裏は浅い勝手下り。茎先栗尻。

 
 
 ◆平成27年9月27日(日)平成27年度第3回研究会開催しました。当日の出陳刀は下記のとおりです。
 
1号刀 刀 銘 村正


2号刀 短刀 銘 和泉守兼重 
 

3号刀 刀 銘 勢州住千子正重 


4号刀 刀 銘 嘉永七年寅十一月四日於東都千住太々土壇佛
         固山備前介宗次作 切手 後藤新太郎      裏 嘉永六丑年二月吉日


5号刀 刀 銘 石堂運寿是一精鍛 慶應二年二月 日


 
 
平成27年7月5日(日)公益財団法人日本美術刀剣保存協会の石井彰学芸課長を講師にお招きし、
  平成27年度第2回研究会を岐阜市南部コミュニティセンタにおいて開催しました。
  当日の出陳刀は下記のとおりです。




1号刀 刀 銘 津田越前守助廣 裏 延寶九年八月日 長さ 76.4cm  反り 1.6㎝

    寛文新刀姿、鎬造り。板目よく詰み大肌所々交り地沸付き美麗。濤乱刃典型作。焼き出しは短く刃に
    平行に焼き、全体に小沸と濃密な匂いによる綿の様な、柔らかく明るく冴えわたる刃。玉を山に寄り添う
    ように置く。 帽子は直に小丸に返る。
    砂流しは谷に付く傾向がある。返りが煙りこんではっきりしないことがある濤乱刃典型作は数少なく、
    大互の目の作が多く見られる。
 

2号刀 刀 銘 坂倉言之進照包 裏 延寶八年二月吉日 長さ 75.1cm  反り 1.2㎝

    寛文新刀姿、鎬造り。肌よく詰み地沸付く。刃文は濤乱風互の目乱で明るく冴える。玉は焼いていない。
    大きくゆるやかなM字型の大矢筈状になるところがある。
    砂流しは全体に着く傾向がある。

 

3号刀 刀 銘 水心子正秀 裏 出研閃々光芒如花二腰両腕一割若瓜 長さ 69.4cm  反り 12㎝ 

   寛文新刀姿、鎬造り。板目よく詰み地沸付き鎬地に柾目見える。刃文はリズムのある大互の目乱で焼き出し
    あり、ばらばらと荒沸付き砂流しも良く付く。角ばる刃もみられる。


4号刀 太刀 銘  保弘    長さ 79.7cm  反り 2.85㎝ 

   鎌倉後期典型の姿、状態良港で反り高く力強く重ね厚い、鎬造り、うぶ茎。板目肌、乱映り明瞭に立つ。
    互の目主体直刃小乱れ。中ほどやや焼き高く、上下は直調で、長光中期作と似る。帽子は三作帽子。
    在銘作希少。


5号刀 刀 銘 荘司筑前大掾大慶直胤(花押) 文政四年五月日 長さ 70.8cm 反り 2.4cm

   大切先磨上げ姿。肌よく詰み無地風に硬い映り出る。丁子乱れ足よく入り足刃に抜けるところあり、
    帽子も乱れ込み小丸に返る。





6号刀 鑑賞刀 短刀 銘 外藤作 刃長273mm 反り2.8mm

    平造り、中筋狭い真棟から上半庵棟。身幅細く、反りつく。鍛えは鉄色冴えた板目に地沸つき、肌立ち加減に
    流れ、ハバキ元に高く映り立つ。
    刃文は、互の目を主調にのたれ、尖り刃を交え、足よく入り、刃縁所々ほつれ、砂流しかかり、沸筋からむ。
    帽子は細かく乱れ込み、裏は弛み加減、先小丸に少し掃きかけて火炎風となり、返りやや深い。
    茎うぶながら 区を送り、刃方面取り、棟方は小肉、鑢目勝手下がり、先栗尻。銘字「外」は研ぎ溜まり
    にかかり、底銘となる。             時代、永享頃。第60回重要刀剣。





平成27年5月31日は杉浦良幸氏の講師による定例研究会と26年度総会を関市文化会館にて開催しました。
  総会では、 全ての議案が満場一致で可決されました。
                 
 
1号刀  刀 銘 兼房 長さ 71.2cm  反り 1.48㎝
        元巾 3.16㎝ 先巾 2.19㎝ 元重 0.64㎝  先重 0.43㎝  切先長 3.25㎝ 
        茎長 20.5㎝  茎反り 0.1cm  茎重 0.68㎝

 【造込】・・鎬造り庵棟やや高く、身巾重ね尋常、元先に巾差頃合に付き、中切延びごころに浅目の腰反りに
       浅い先反りが加わった室町時代末期の打刀姿。

 【地鉄】・・地沸よく付く杢目に地景淡く現れた地鉄。刃寄りはやや柾が目立つ、末関物によく見られる地鉄。

 【刃文】・・沸出来、頭の張った変化に富んだ互の目乱。(兼房乱)鍛肌に絡んだ金筋、砂流しが表れ、
       元の方に砂流し特に目立つ。

 【帽子】・・乱れ込み先掃き掛けて大丸に横手筋まで返る。

 【彫物】・・表裏に刀樋を掻き通し、添え樋を掻き流す。

 【茎】 ・・約1cm区送る。穴二つ、下の生ぶ穴を鉛で埋める。鑢目鷹羽鑢。先栗尻。

 【銘】 ・・表、生穴下より茎中央にややコロットした感じの二字銘を切る。


2号刀 太刀 銘 州中路住盛次作 長さ 70.9cm  反り 2.62㎝
        元巾 2.74㎝ 先巾 1.67㎝ 元重 0.63㎝  先重 0.41㎝  切先長 2.52㎝ 
        茎長 24.6㎝  茎反り 0.5cm  茎重 0.77㎝

  【造込】・・鎬造り庵棟普通、身巾やや狭く、摺上げ(10cm)により踏ん張りが抜け、強めの中間反が加わった
       鎌倉末期から南北朝に掛けての太刀姿。

 【地鉄】・・底に淡い杢目の地景が沈む綺麗な地鉄。小沸微塵に付き白化風の乱れ映り平地全面に表れる
       見事な地鉄。

  【刃文】・・沸出来、小乱れの作為の無い焼刃。刃縁に小足、二重刃、打ちのけなど、随所に表れる古雅な焼刃。
       下半分潤みごころとなり刃中よく沸く。

 【帽子】・・小さく乱れ、焼幅狭くなり、先小丸浅く返る。

 【茎】 ・・約10cm程摺上げ、茎尻生ぶと思われるが摘んである可能性もある。穴三つ。先浅い栗尻。

 【銘】 ・・楓裏(刀銘)茎中央に細鏨でやゝ大振りの長銘を切る。朽ち込は見られるが判読できる。
       しかし初めの(備)は判読不能。


3号刀  刀 銘 丹波守藤原照門名以地金下作之 長さ 69.5cm  反り 1.35㎝
        元巾 3.37㎝ 先巾 2.37㎝ 元重 0.78㎝  先重 0.52㎝  切先長 3.82㎝ 
        茎長 19.6㎝  茎反り 0.16cm  茎重 0.78㎝

  【造込】・・鎬造り庵棟やや高く、身巾広く重ね厚く、鎬筋高く鎬地の肉を落とし断面形状を菱形とする
       豪壮な造込浅めの中間反りに中切先延びごころ、江戸時代中期の打刀姿。

 【地鉄】・・よく鍛えられた細かな潤いのある肌に地沸微塵に付いた綺麗な地鉄。鎬地柾鍛肌強く表れる。

 【刃文】・・小沸出来、刃緑明るく冴え、直刃基調に小さく乱れる互の目、沸足盛んに入る。
       焼き出し1cm焼き落とす。表、横手下約三寸の辺り二重刃風の沸筋表れる。

 【帽子】・・浅く湾れ三品風帽子となり、先中丸に尋常に返る。

 【茎】 ・・生ぶ穴一つ。鑢目荒い大筋違いの一本突き鑢。先、刃上がりの片削ぎ。

 【銘】 ・・表、目釘穴下よりやや棟に寄せて力強い七文字。裏、表同位置に作刀地、素材を力強く切る。


4号刀  刀 銘 作陽幕下士細川主税佐源正義(刻印)/天保十二年辛丑八月日 長さ 47.0cm  反り 1.59㎝
        元巾 3.08㎝ 先巾 2.35㎝ 元重 0.62㎝  先重 0.49㎝  切先長 6.48㎝ 
        茎長 14.1㎝  茎反り 0.33cm  茎重 0.75㎝

 【造込】・・鎬造り真棟高く身巾頃合い、重ね鎬筋の高い断面形状が三角形になる平肉の無い造込。
       強めの先反りに大切先の長巻き直しのような姿。

 【地鉄】・・地沸あまり付かず、大杢目の地景あらわれた幕末の相州地鉄。

 【刃文】・・沸出来、刃淵が判然としない程沸深く、湾れ基調、頭やや丸くなり互の目風になり、激しく沸太い
       沸足となる。刃中鍛肌に絡んだ杢目風の働き随所に表れる。幕末の相州物を意識した典型的な
       焼刃。

 【帽子】・・沸えて先大丸に掃掛け、横手下まで返る。

 【彫物】・・表、刀樋と添え樋を掻き流し 裏、同樋を掻き通す。

 【茎】 ・・生ぶ穴一つ。鑢目掛け出しを化粧鑢に大筋違いに仕立てる。先栗尻。

 【銘】 ・・表、正義独特の上手な文字を平地に、茎尻鎬地に刻印を打つ。
       裏、平地に制作年紀を表同様の文字で切る。


5号刀  短刀 銘 大和國住友長作/□□十八年二月日 長さ 27.7cm  反り0.13㎝
         元巾 2.48㎝  元重 0.53㎝  茎長 10.4㎝  茎重 0.62㎝
    

 【造込】・・鎬造り真棟高く、身巾重ね尋常、軽い中間反りにふくらの付いた南北朝期の短刀姿。

 【地鉄】・・細かな潤いのある地沸微塵に付き底に沈んだ小杢目肌の地景あらわれた潤いのある地鉄。
       刃方柾肌あらわれる。平地中央、地鉄の相違と思われる白化風の映りあらわれる。

 【刃文】・・小沸出来の細直刃。僅かに湾れ焼き出し部分僅かに焼き落とす。

 【帽子】・・細直刃僅かに返るが殆ど焼き詰める。

 【茎】 ・・生ぶ、穴二つ。鑢目太い檜垣鑢。先刃上がりの片削ぎ。

 【銘】 ・・表、研磨溜りより茎中央に居住地と作者名を下に行くに従って大きくなる文字で切る。
       裏、制作年紀を切るが目釘穴に掛かり年号不明。しかし十八年の年数から「正平」と推測できる。


鑑賞刀 太刀 銘 曙 河内守藤原國助(刻印)/平成二十七年春山有来人
正宗賞の受賞作家、河内道雄氏の一文字写し傑作です。

   
 

 

    


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