当支部会員参加による行事日程

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 古式日本刀鍛錬 一般公開
 刀匠、研師、柄巻師、鞘師、白銀師の実演
 会場・関鍛冶伝承館
 1月2日、2,3,4,5,6,7,8,9,11,12月の第1日曜日
 10月は、関市「刃物まつり期間」に開催

令和7年度「支部活動」日程

支部活動 期   日 会   場
 第1回定例研究会・総会  令和7年 5月24日(土)   せきてらす
 第2回定例研究会  令和7年 7月12日(土)   茜部公民館
 第3回定例研究会  令和7年 9月20日(土)   せきてらす
 第4回定例研究会  令和7年 11月8日(土)   茜部公民館
 第5回定例研究会・懇親会  令和8年 1月17日(土)   岐阜キャッスルイン
 第6回定例研究会  令和8年 3月21日(土)   岐阜市南部コミュニティーセンター


※研究会に一般参加・見学を希望される方は事前に、住所・電話番号・氏名・年齢・職業を記してお申し込みください。
申込先:〒500-8258 岐阜市西川手四丁目20番 日本美術刀剣保存協会岐阜県支部
e-mail houji@pg8.so-net.ne.jp

(当日の飛び入り参加、および反社会的団体に関係する方は固くお断りいたします。)
 尚、参加会費は 1,000円/1回 を申し受けます。

令和7年7月12日(土)公益財団法人日本美術刀剣保存協会より大井岳学芸部長に講師としてお越しいただき、茜部公民館にて第2回定例研究会を開催いたしました。

1号刀 太刀 銘 大原真守
重要美術品の大原真守です。
姿から古いところと皆さん捉えることができ、古伯耆や古一文字、古備前や粟田口などの札がありました。
古伯耆としては刃肌に絡んだところが顕著でないので外して、古備前、山城に持っていったのだと思いますが、考え方としては悪くありません。
重要美術品ということで状態が良く健全なものなので余計にそういった札にいかれたのかと思います。

ただ地はかなり肌立って明瞭な地斑映りが立ち、鎬にかかるほど黒い暗帯部や、鍛錬数が少ないような大きい板目肌が交じるといった古伯耆の特徴が見て取れます。
そして刃文は匂口が沈んだ小乱れの中に小丁字が混じり、刃沸がついて物打辺りは直刃に足が入っています。
小乱れの中に小互の目や小丁字が交るのも古伯耆の特徴です。
こういった点から古伯耆とみて、その中でも比較的新しい感じがするので大原真守と考えていただければと思います。
それから大原真守の刃文は比較的こずんだ小模様な出来が多いですが、匂口が締まった直刃調の出来もあり、本作の物打も匂口が締まっているので大原真守と捉える一つのポイントです。

2号刀 脇指 銘 信國/應永□年□月日

なかなか難しく今回は当りがでませんでしたが應永の信國です。
寸法が二尺ほどのため、片手打ちと捉えた末関や末備前の札がありましたが、今回は姿から時代を特定するのが難しい作でした。
本作はおそらく太刀の指し添えとして作られたのではないかと思います。

ただ應永信國だと分かって見ると、刃に小沸がついて明るく冴え、互の目が二つ連れ、それを小湾れで繋いでいたり、互の目が僅かに角ばるところや、鍛えが綺麗によく詰むところなど、應永信國らしい特徴が見てとれます。
本作に複雑な彫物があれば当てられたと思いますが、単純な棒樋のみでしたので入札が散っていました。
ちなみに棒樋については茎先まで搔き通して銘字が少し切れていますので、丸留めだったのを軽量化の為に樋先を伸ばしたのか、もしくは後樋の可能性があります。

3号刀 短刀 銘 吉光
沼田藩土岐家に伝わった藤四郎吉光の短刀です。
寸法が七寸二分と小振りで、身幅尋常で内反り、三ツ棟の頂点に幅があります。

粟田口と聞くと梨子地肌が有名ですが、本作を見ると板目が肌立ち、地沸や地景がしっかり入っており所謂梨子地肌ではありません。
吉光は梨子地肌の作もあれば、本作のように相州風の肌立って沸がついた作もあり、むしろ後者の作が多いとされています。

粟田口國安や國綱も梨子地肌以外の作品を残しており、肌立って沸付きが強い相州風の鍛えも見られますが、國吉は逆に梨子地肌が多いです。
姿は國吉も吉光も尋常なものから小振りなもの、重ねの厚いものなど色々な作があります。
腰元に互の目を焼き、ふくら辺の刃幅が狭くなって、帽子の沸が零れて沸筋となって喰い下がっている点が吉光の特徴ですので、そこに注目していただければと思います。

相州風の鍛えということもあり、新藤五や行光といった札もありました。
確かに本作に地景は入っていますが、新藤五などと比べて金筋や砂流しが目立ちません。
それと来國俊であれば本作のように板目が立った鍛えではなく、小板目が詰み、部分的に来肌が出ることがあります。

4号刀 脇指 銘 肥前國住人忠吉作/刳物藤原宗長
宗長彫りの入った初代の住人忠吉です。

本作は典型的な宗長彫りで、籏鉾も肥前刀に多いです。
吉長彫りに比べると寸が若干詰まった感じで肉付きが良く、龍の口が大きく開き、剣を掴む手足の爪が長く、三鈷杵を略した略鈷となる点などに特徴がみられます。
また略鈷の爪が宗長は真円に近く、吉長は縦長になります。

特徴的な彫物と、刃文には帯状の匂口がみられ、帽子の焼きもフクラに沿って綺麗に返っている所を捉えて肥前刀とみていただければと思います。
そして本作は武蔵大掾忠廣銘の頃の小糠肌と違い、板目に比較的地沸が厚くつくところや、匂口は帯状になっているものの、ほつれや喰違刃が交っていますので、入札は忠廣より忠吉とされた方が良いと思います。

5号刀 刀 銘 泰龍齋宗寛造之/萬延二年二月日
元先の幅差が目立たず鋒が大きいことから新々刀と見て、匂出来の小丁字を三~四寸の間隔で繰り返している所から固山系と見ることが出来ます。
今回殆どの方が固山宗次と入れていました。

ただ固山宗次であれば本作よりも焼きに起伏がついて、丁字の房も大きくなります。
帽子についても固山宗次であれば乱れこんで浅く返り、あまり長く返りません。

長運斎綱俊の札もありましたが、綱俊であれば刀の場合は元に焼出しを焼いたものが多いです。

泰龍齋宗寛といえば三ツ棟が有名で、本作も三ツ棟です。
また裏側にうっすらと細長い乱れ映りが立っています。
この二つの特徴を捉えられたら泰龍齋宗寛に持っていけたかと思います。


令和7年5月24日(土)、富山県支部より山誠二郎氏に講師としてお越しいただき、せきてらすにて第1回定例研究会および総会を開催いたしました。
1号刀 太刀 銘 守家造
畠田守家の特別重要刀剣に指定されている太刀です。
磨り上がってはいますが、元先に幅差があり、腰反りつき、先にも反りが加わる姿から鎌倉時代と見ていただきたいです。
刃文は守家の特徴とされる蛙子丁字が所々に入っており、鍛えを見ますと淡い映りが立ち、板目肌が流れたところがあります。
刃文の物打ちの焼きが低くなるところや小模様な刃文から長舩の長光と見られた方もいましたが、長光とは鍛えの風合いが少し違うかと思います。
また一文字の札もありましたが、一文字であれば物打ちが小模様にならず上から下まで丁字が主体になります。

2号刀 短刀 銘 安吉
左安吉の重要刀剣に指定されている短刀です。
身幅が広く重ねが薄い造り込みで、反りが浅くついているところから時代を南北朝と捉えられます。
鍛えは板目に流れ肌を交えて太い地景が盛んに入るところから相州伝系の鍛冶と推測し、鍛えの整わないところで本流から外して見ていただき、表の僅かに尖った帽子から左に持ってけたらいいのではないかと思います。
ただ安吉であれば通常棒映りが立つのですが本作には見られず、また左一派の特徴である尖った帽子も目立たないため難問でした。

3号刀 刀 銘 肥前國住武蔵大掾藤原忠廣/寛永六年二月吉日
鍛えは小板目がよく詰んで地沸が厚くつき、小糠肌と呼ばれる特徴的な鍛えをしています。
そしてよく見ると僅かに肌が流れたところがあり、直刃調の刃文で肥前刀独特の帯状の匂口に砂流しや喰違い刃が入るような変化が多く見られます。
この辺が初代忠吉・忠廣の特徴的なところで、近江大掾忠廣とは違う点かと思います。

4号刀 脇指 銘 左行秀/安政六年二月日
刀と揃いで重要刀剣に指定されている左行秀の脇指です。
左行秀は匂が深いところが特徴で、また鍛えが柾に流れ、刃中に砂流しがかかるところも見所です。
姿は大鋒が多く、今作のように脇指であっても同様です。
互の目が連れて砂流しがかかった刃文から清麿一派の入札がありましたが、今作は清麿よりも匂深く、清麿であれば荒沸がつくかと思います。
また井上真改という入札もありました。行秀は真改に私淑したと思われる作品を多く作っていますが、真改にはここまで大鋒となる姿は殆ど見られません。
三ツ棟になっていたり、鎬地を削いだり平肉があまりついていないところからも新々刀と見ていただきたいです。

5号刀 刀 銘 泰龍齋宗寛造之/慶應三年二月日
師である固山宗次に非常に近い出来を示しており、およそ四寸ごとに型で押したように同じ刃文を繰り返し焼いています。
また宗寛の場合は映りが出ると言われますが、今作には殆ど見えないこともあってか今回は宗次という入札がありました。
宗寛の特徴としては三ツ棟が多く、今作も三ツ棟です。この特徴を捉えられると宗寛と見えますが、全体的な刀の出来、刃文の特徴を見ると宗次と入れられるのも良い札なのではないかと思います。



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平成22年度「支部活動」


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